一方アンデス地方では紀元前2000年には既に金銀銅の治金術を発明していたが文字の使用はなく、チャビン、モチェ、ナスカ、ワリ、チムー等が入れ替わり立ち代りその文化の花を咲かせた後、巨大な道路網によってその広大な領域を支配したインカ帝国にまでその歴史が引き継がれた。インカは15世紀にその地を統一したこれまた新参かつ強大な帝国であった。
遠く離れた南北の文明圏には奇妙な類似も見出せる。メキシコ中央高原やマヤに大きな影響を及ぼしたオルメカやアンデス地方に同様の影響を及ぼしたチャビンは共にジャガー、蛇、鳥の組み合わせによる宗教芸術を生み出し、それらが後々まで宗教シンボルとなった。また、喫煙用パイプ、唇飾りなども共通している。また治金術は南から北に伝わり、北の土器様式がアンデスで見つかることもある。つまり、南北両地域には活発な交流があったと考えられている。
当然この交流路を通じて様々な物と情報が流れた。農耕そのものも、栽培植物の種子も・・・トウモロコシ、カボチャ、ジャガイモ、トウガラシ、カカオ・・・いずれもこの道を通ってお互いの文明の中に採り入れられたのである。
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